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歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりや食いしばりは放置しない

「気づいたら強く噛みしめていた」「家族から歯ぎしりを指摘された」そのような経験はありませんか。
歯ぎしりや食いしばりをすることは、めずらしいことではありません。
しかし、放っておくとトラブルにつながります。

歯ぎしりや食いしばりの違いや原因、起こり得るトラブルを把握し、できるだけ早めの対処を心がけましょう。
当院では、歯ぎしりや食いしばりの治療にも力を入れています。
症状があてはまる方は、お気軽にご相談ください。

目次

こんなお悩みありませんか?

  • 歯ぎしりや食いしばりを治したい
  • 起床時の顎のだるさが気になる
  • 顎の関節に痛みがある
  • 歯のひびの原因が知りたい
  • 歯ぎしりや食いしばりの原因が知りたい
  • マウスピースの種類が知りたい

歯ぎしり・食いしばりについて

歯ぎしり・食いしばりとは

「歯ぎしり」は、睡眠時に食いしばっている状態を指し、自分ではコントロールすることができません。
「食いしばり」は、おもに起きているときに無意識に歯を噛んでいることを指し、何かに集中しているときや、力を必要とするときに起こるものです。
どちらも歯や顎の関節にとって良いものではないため、早めに対処する必要があります。

 

●歯ぎしりは体重の2倍~5倍の力がかかる

睡眠時に起こる歯ぎしりは、その方の体重の2倍~5倍の力が歯にかかるといわれています。
ただ噛むだけでなく、左右にこすりあわせることもあるため、ぎりぎりとした音が鳴るケースもあります。
歯ぎしりをするだけで、想像以上の負担を歯や顎の関節にかけていることが考えられます。

 

●起床時の痛みや違和感があれば要注意

起床時の顎の関節の痛み口まわりの筋肉の違和感は、睡眠時に歯ぎしりをしているサインです。
放っておくと、口が開けづらくなる顎関節症(がくかんせつしょう)を発症する場合があるため、注意しましょう。
当院では、歯ぎしりや食いしばりをする方に向けて、専用の治療を行っています。
歯にひびが入る場合や、割れる場合もあるので、放置はせずに早めにご相談ください。

原因

●ストレス

歯ぎしりや食いしばりのおもな原因は、ストレスです。
歯ぎしりは、環境の変化や深いお悩み、身体が疲れているときなどに起こりやすく、食いしばりは、感情的になったときや緊張時に起こりやすい傾向があります。

治療には、マウスピースを使用するといった物理的な方法にあわせて、ストレスを減らす工夫も必要です。
まずは、患者様自身が「何に対してストレスを感じているのか」を明確にし、適切なストレス解消法を導き出すことが大切です。

 

●歯並び

歯並びによって噛みあわせが悪いと、口まわりの筋肉の緊張や、顎の関節に負担がかかり、それが原因で歯ぎしりを引き起こすことがあります。
しっかり噛めないということは、身体にはストレスとなるため、注意しましょう。

軽度な噛みあわせの調整は、歯を少し削ることで解決しますが、重度の場合は全体の歯を動かして調整する矯正治療が必要です。
治療法も患者様によってさまざまですので、症状があてはまる方は一度ご相談ください。

 

●枕があわない

寝ているときの頭の位置が不適切だと、日頃の疲れがうまくとれないどころか、身体的ストレスを感じやすくなります。
起床時に首のだるさや痛みを感じる方は、枕があわないケースがほとんどです。

枕がやわらかすぎると頭が沈むため、首のうしろの筋肉が痛くなる、横向きになった場合に顎の関節に負担がかかるなど、不調が起こりやすくなります
反対に硬すぎても、頭のうしろの痛みにつながるため、良くありません。

あう枕がみつからない場合は、オーダーメイドでつくることもおすすめです。
歯ぎしり防止のためにも、質の高い睡眠を心がけましょう。

 

●集中している時間が長い

勉強やスポーツ、仕事など、何かに集中しているときは、無意識に食いしばりが起こるといわれています。
長時間同じ状況でいることは、歯や顎の関節をはじめ、精神的にも良くありません。

定期的に息抜きをする時間をつくり、心身をリラックスさせることが大切です。
自分にあったリラックス方法を把握しておくと、急なストレスにも柔軟に対応することが期待できます。

種類

●グラインディング

グラインディングとは、上下の歯をこすり合わせる動作です。
おもに睡眠時の歯ぎしりで起こり、音が鳴る原因でもあります。

隣で寝ている方が起きてしまうほどの大きな音が鳴ることもあり、ご家族からの指摘によって歯ぎしりを自覚する方もいらっしゃいます。
歯をこすり合わせるため、歯がすり減りやすい特徴があります。
また、顎の関節の負担も大きいことから、早めの対処が必要です。

 

●クレンチング

クレンチングとは、上下の歯を強く食いしばる動作です。
起きているときと睡眠時、どちらにも起こりますが、とくに睡眠時はかなりの力で噛みしめるため、歯にひびが入る可能性や、割れる可能性があります。

リラックスした状態の歯の位置は、上下2〜3mmほど離れていて、噛みあってはいません。
睡眠時はむずかしくても、起きているときは意識すれば改善が期待できます。
何かに集中しているときは、クレンチングが起こっていないかをときどき気にかけるようにしましょう。

 

●タッピング

タッピングとは、上下の歯をかちかちと噛みあわせる動作です。
グラインディングやクレンチングと異なり、ずっと噛んでいるわけではないため、3種類のなかでは歯や顎の関節への負担が少ないといわれています。
しかし、負担がまったくないというわけではないため、タッピングも改善を心がけましょう。

歯ぎしり・食いしばりが
およぼす悪影響

影響は歯だけではない

歯ぎしりや食いしばりは、歯や顎の関節に大きな負担を与えるといわれています。
とくに力がダイレクトに伝わる歯のトラブルが多く、割れる、詰め物が取れるケースもあります。
さらに、その下にある歯ぐきにも影響を及ぼすため、注意が必要です。

次のような症状が現れる前に対処することをおすすめします。

 

●歯が割れる

歯が噛む力に耐えられなくなり、ひびが入る、割れることがあります。
過去に歯の神経をとる根管治療(こんかんちりょう)をした歯であれば、歯そのものが脆くなっているという理由から、ひびや割れる現象が起こる可能性があります。

しかし、強すぎる歯ぎしりや食いしばりでは、神経がまだ生きている歯でも割れることがあるため、注意が必要です。

 

●歯の根っこが割れる

過去に根管治療をしていた場合、天然歯である歯の根っこが割れることがあります。
根っこが割れると歯がぐらつく場合や、割れた部分から菌が入って根っこの先に膿がたまる根尖病巣(こんせんびょうそう)という病気を発症する場合もあるため、注意が必要です。

いくら治療にお金をかけても根っこが割れてしまうと、使い続けることはできません。
割れる前の対処が大切です。

 

●歯周病悪化につながる

歯周病は、歯のまわりの組織が感染する病気で、進行すると歯のぐらつきが起こります。
歯ぎしりや食いしばりは、歯に大きな負担をかけますが、歯のまわりにある歯ぐきにも影響しています。
とくに噛んだまま左右に動くグラインディングは、歯のぐらつきを悪化させる原因にもなるため、注意しましょう。

・インプラントが安定しない原因にもなる

歯のぐらつきが強まることは、天然歯だけでなく、インプラントでもあります。
歯周病が悪化して歯の抜歯や、インプラントの撤去をさせないためにも、事前に対策をしておきましょう。

 

●詰め物が取れやすい

歯ぎしりや食いしばりが原因で、詰め物が取れることがあります。
天然歯がすり減るほどの力が加わるため、詰め物が変形する場合や取れる場合も考えられます。

天然歯と詰め物の間にすき間ができて、それによってしみる症状がでることもあります。
歯がしみて虫歯と思ったら、実は歯ぎしりや食いしばりが原因だったというケースもあるため、注意しましょう。

 

●全身にも影響する

歯ぎしりや食いしばりによって口の中でトラブルが起こると、それが悪化した場合に全身に影響する可能性があります。
たとえば、顎関節症になってしまうと、口が開けづらくなることで汚れの除去率が低下し、虫歯や歯周病につながり、噛むことが困難になると食べものを固形の状態で飲み込みやすくなります。

その結果、胃や腸の負担が増えて、消化不良栄養不足を引き起こすこともあります。
また、歯周病が悪化すると、炎症によって毒性物質が生まれ、それが血液を通して全身にまわります。
毒性物質の存在により動脈硬化が起こりやすくなるため、心筋梗塞脳梗塞などの全身疾患につながります。

歯ぎしり・食いしばりの対処方法

マッサージ

口まわりの筋肉の緊張や、身体全体のこりなどが原因である場合は、マッサージをすることで改善が期待できます。
顔の筋肉は、ほぐした経験のない方が多く、押してみると強い痛みを感じることもあります。

頬に手をあて、噛んだときに動く筋肉をみつけましょう。
その部分を中心に、できるだけ広くマッサージすることがおすすめです。
歯ぎしりや食いしばりだけでなく、顎関節症予防にも効果的なので、口まわりの筋肉のマッサージはぜひ毎日続けてください。

 

●身体全体のこり防止にはストレッチが効果的

身体全体のこりを防止するためは、お風呂上がりのストレッチが効果的です。
身体全体の筋肉がほぐれることで、睡眠の質もあがり、ストレスの軽減につながります。

マウスピース

歯科医院では、睡眠時に使用する歯ぎしり防止用と、スポーツ時の食いしばり防止用のマウスピースが作成できます。
型取りをし、1週間ほどで出来上がります。

虫歯がある場合は、あとで被せ物を行うと、マウスピースの形にあわなくなる可能性があります。
先に治療することをおすすめします。

 

●作成にかかる費用

歯ぎしり防止用のナイトガードは保険が適用されます。
3割負担で2,500円〜5,000円程度で作成が可能です。

一方でスポーツ用のマウスガードは、保険が適用されません
費用は歯科医院によって異なり、相場は10,000円〜20,000円です。
マウスピースの種類で費用が異なりますので、注意しましょう。

矯正

噛みあわせが問題の場合は、矯正治療をすることで改善が期待できる場合があります。
噛みあわせは基本的に奥歯を中心に決まるものであるため、前歯を対象とした部分矯正では、あまり効果を得ることが期待できません。
費用はかかりますが、歯や顎の関節の負担の大幅な軽減が期待できるため、長期的にみると良い選択肢の1つです。

 

●骨格に問題がある場合は手術が必要

歯ではなく骨格に問題がある場合は、矯正治療のみでは対応できません
無理やり歯の向きだけを変えてしまうと、余計に歯や顎の関節に負担がかかる場合があります。
検査結果が出てからでないと最終的な判断はできませんが、噛みあわせが大幅にずれている場合は、顎の手術も必要になることもあります。

当院での歯ぎしり・食いしばりに
対するアプローチ

ナイトガード(マウスピース)

ナイトガードは、睡眠時の歯ぎしりを防止するマウスピースです。
厚みがあり、簡単に穴があくことはありません。
毎日使うことでナイトガードが徐々に削れていきます。

その削れた痕をみてどのような動きが起こっているかを分析し、場合によっては歯や顎の関節により負担がかからないよう調整を行います。
歯科医院にお越しの際は、かならずナイトガードをお持ちください
少し調節するだけでも、使用する感覚は変わります。

 

●長期間使っていると変色することがある

素材の関係で、徐々に変色してくる場合があります。
機能的には問題ないため、ご安心ください。
変色がどうしても気になる方は、つくり直しをおすすめしています。

スポーツマウスガード

マウスガードは、スポーツ時の食いしばりによる歯や顎の関節への負担防止を目的としたマウスピースです。
歯ぎしり用のナイトガードとは異なり、ソフトタイプが多く、瞬発的な食いしばりの力や、外部の衝撃から歯を守る役割があります。

ときどきマウスガードを睡眠時にはめる方がいますが、素材がやわらかいため、歯ぎしりに耐えられず穴があく可能性があります。
効果を損なわないためにも、睡眠時とは別に作成することがおすすめです。

 

●戦う相手を傷つけない役目もある

マウスガードには、自分の歯を守るだけでなく、ぶつかったときに相手を歯で傷つけない役割もあります。
良い試合にするには、相手への配慮も必要です。
相手を傷つけないためにも、早めにマウスガードをつくっておきましょう。

よくある質問

歯にこまかい縦線が入っています。
歯ぎしりのせいですか?

歯ぎしりや食いしばりがあると、前歯にこまかな縦線が現れることがあります。
ひびの可能性が高く、対策をしないでいるといつか割れてしまう可能性があるため、注意しましょう。
早めにマウスピースの作成をおすすめします。

ホワイトニングがやけにしみます。
歯ぎしりに関係がありますか?

歯にこまかなひびが入っている場合は、ホワイトニングの薬剤がしみやすくなります。
知覚過敏の症状が強い方は、歯ぎしりや食いしばりがないか、一度確認してみましょう。

市販のマウスピースでも効果はありますか?

効果がないわけではありませんが、作り方によっては噛みあわせが悪くなり、歯やあごの関節、口まわりの筋肉に、余計な負担やストレスを与える可能性があります。
歯科医院での作成がおすすめです。

マウスピースの取り扱い方で注意点はありますか?

マウスピースが変形してしまう場合があるため、お湯で洗うことはやめましょう。
かならず流水下で洗うようにしてください。
また、直射日光でも変形することがあります。
使わないときは、ケースに入れて保管しましょう。

矯正治療後に後戻りが起こっています。
歯ぎしりや食いしばりに関係がありますか?

関係がないとはいいきれません。
矯正治療後の保定期間を終えているのであれば、歯ぎしりや食いしばりによって歯が動いている可能性は十分考えられます。

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著者 Writer

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関屋 亘(セキヤ ワタル)
【所有資格】日本接着歯学会 専門医 / 日本口腔インプラント学会 専修医
【生年月日】1979年6月11日

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一生懸命、治療させていただきます。
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