悪い噛み合わせは放置しない
「うまく噛めないけど、虫歯じゃないし大丈夫だよね?」と思っていませんか。
噛み合わせが崩れている状態を不正咬合といいますが、その状態を放置しておくことは歯にとってはもちろん、全身の健康のためにも良くありません。
悪い噛み合わせを放置することで引き起こされるトラブルや、セルフチェック、対処法などについてくわしくまとめました。
噛み合わせでお困りの方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
こんなお悩みありませんか?
- うまく食いしばることができない
- うまく噛み切れない
- 顔の印象が左右非対称なのが気になる
- 不正咬合の原因が知りたい
- 不正咬合の対処法が知りたい
- 不正咬合のセルフケアについて知りたい
噛み合わせについて
噛み合わせが悪いとは
噛み合せが悪いとは、おもに奥歯でしっかり噛めない状態や、しっかり噛んでも歯と歯の間にすき間がある状態を指します。
噛む位置が安定しないため、「噛むときに使用する筋肉のバランスが崩れる」、「顎関節(がくかんせつ)に余計な負担がかかる」など、不具合が生じやすい傾向があります。
噛む動作は毎日行われるものであることから、早めに対処し、負担のバランスを平等に保つことが大切です。
噛み合わせを悪化させる原因
噛み合せを悪化させる原因には、次のようなものが挙げられます。
・頬杖
・食いしばり
・歯を失った状態の放置
・寝ているときの歯ぎしり
とくに歯を失った状態の放置は、ドミノ倒しのように全体の歯並びが悪くなる可能性があるため注意が必要です。
入れ歯やブリッジ、インプラントを入れて、隣接する歯が倒れてくることを防止し、全体の噛み合わせを保つことが見込めます。
日常のくせは意識することで改善につながりますが、寝ているときに起こる歯ぎしりを止めることはできません。
ご自身の状態にあった対策が必要です。
悪い噛み合わせが起こす症状
●顎関節症
顎関節症は、噛むときに使用する咀嚼筋(そしゃくきん)や顎関節内の組織の炎症、骨の変形などにより、お口を開けることが困難な状態を指します。
根本的な原因が噛み合わせの悪さであるケースもあります。
・噛む場所が偏る
噛み合わせが悪いと、無意識に少しでもよく噛める場所で噛もうとします。
その結果、特定の歯や筋肉に負担がかかるようになり、顎関節症を引き起こしやすくなります。
1回や2回の動作で顎関節症になるわけではないため、そのくせを自覚する方はほとんどいらっしゃいません。
お口の中の負担が偏らないよう、定期的に噛み合わせのチェックをする必要があります。
・睡眠時の歯ぎしり
噛み合わせが悪いと、ストレスがたまりやすくなり、睡眠時の歯ぎしりの原因につながります。
歯ぎしりは、体重の2〜5倍の負担が歯にかかるとされており、顎を横にずらすタイプの場合は顎関節にも負担がかかってしまうといわれています。
噛み合わせを治したことで睡眠時の歯ぎしりが改善され、顎関節症の症状が軽くなったというケースもあります。
●見た目の変化
噛む場所が偏る場合や、歯ぎしりが頻繁に起こる場合は、咀嚼筋の負担のバランスが崩れ、その結果見た目にも変化が現れる可能性があります。
筋肉は使えば使うほど硬くなることから、片方のエラが目立ってみえる方もいらっしゃいます。
いくらマッサージやボトックス注射をしても、噛み合わせを治さない限り再発しやすい傾向にあります。
・矯正治療もおすすめ
噛み合わせのずれが大きい場合は、歯を削って行う調整方法はすすめられない可能性があります。
一度削った歯はもとには戻らないため、治療の見極めは重要です。
削る部位や量が多くなる場合は、矯正治療も視野に入れましょう。
全体の噛み合わせを整えることが期待できるため、見た目の悪い変化を防ぐだけでなく、将来の歯や顎関節への良い影響にもつながります。
・部分的な改善には被せ物も
特定の歯が原因で噛み合わせが悪くなっている場合は、被せ物をして治す方法もあります。
「虫歯がある」、「以前に神経の処置をしている」など、健康な状態の歯でなければ選択肢に含めることもおすすめです。
全体の歯並びを変える矯正治療よりも費用を安く抑えることができ、選ぶ素材によっては笑ったときの印象が良くなる可能性もあります。
自宅で簡単に行えるチェック方法
噛み合わせチェック
●鏡の前で噛んだ状態の見た目を確認
鏡の前でお口を「い」の形にして噛んでみましょう。
中央の歯と歯の間にある線が上下揃っていれば、噛み合わせは良い傾向にあります。
ずれがある場合は、噛み合わせが悪い可能性があるため、注意が必要です。
ただ、噛み合わせは奥歯も大切な要素であるため、不安なことがある場合、歯科医院にて相談しましょう。
●歯並びの状態を確認
お口を大きくあけて鏡をみてみましょう。
「歯を抜いた場所がそのままになっている」、「歯列からずれている歯がある」と噛み合わせが悪くなる可能性があります。
また、以前被せた詰め物や被せ物が欠けている場合や、外れている場合も、噛み合わせに変化が起こることがあるため、つくり直しをしましょう。
・入れ歯が原因で噛み合わせが悪くなることも
使用中の入れ歯が原因で噛み合わせが悪くなるケースもあります。
とくに長年使用している入れ歯は、噛み合わせの部分が減っていることや、歯茎がやせて不安定になっていることがあるため、注意が必要です。
一応使えるからとそのままにしていると、ほかの歯への負担が増えてしまう可能性があります。
歯科医院で定期的にチェックしてもらいましょう。
・被せ物が動かないかをチェック
被せ物は、強力な歯科用セメントで接着するため、問題がなければ動きません。
被せ物をしている歯を触ってみて、上下左右に動かしてみましょう。
ぐらつきがある被せ物を放置していると、安定した噛み合わせにはなりません。
早めに歯科医院へご相談ください。
横顔を確認
鏡でお口を閉じた状態の横顔をチェックしてみましょう。
立てた人差し指を鼻先と顎先に軽く触れるように当て、唇が指につかなければ歯並びが良く、そのぶん噛み合わせも正常である可能性が高いとされています。
一方、唇もしっかりつく状態の場合は、出っ歯や受け口など歯並びに問題があるケースが多く、噛み合わせにもずれが生じている可能性が考えられます。
●叢生の場合
唇が指につかなければかならずしも歯並びが良いというわけではありません。
凸凹の歯並びである叢生(そうせい)の場合は、歯列がU字型ではなく「コ」のように犬歯の部分が四角いケースもあり、口を閉じているときには問題がないようにみえることもあります。
●骨格に問題がある場合
歯に問題があれば矯正治療をすることで噛み合わせを改善することが期待できますが、骨格に問題がある場合は、矯正治療のみでの改善はむずかしいとされています。
骨を削る外科手術が必要になる可能性もあり、手術を避けたいからといって歯だけを無理やり並べてしまうと、余計に噛み合わせが悪くなる場合もあるため注意が必要です。
適切な方法で、バランスの取れた噛み合わせと美しい横顔を手に入れましょう。
問題のない噛み合わせ
すべての歯がどこかしらに当たっている状態で、横にずらしたときにスムーズに動かすことができれば、きれいな噛み合わせと考えられます。
「奥歯はしっかり噛むことができるのに、前歯が当たらない」というお悩みをいただきますが、かちかちと噛んだときに前歯は強く当たらない状態が正常です。
軸がずれていることがなければ、それほど心配することはありません。
気になる方は、一度歯科医院で調べてもらいましょう。
噛み合わせの治療方法
定期的に歯科医院でチェック
被せ物や入れ歯をしていると、使っているうちに徐々に噛み合わせが変わる可能性があります。
定期的に歯科医院でチェックをして、バランスの取れた噛み合わせを維持することが大切です。
少しのずれであれば、当たりの強い部分を少量削るだけでも大きな違いを感じやすいとされています。
●歯ぎしり用のマウスピースのチェック
歯ぎしり用のマウスピースを持っている方は、マウスピースをつけたときの噛み合わせのチェックも定期的に行いましょう。
歯ぎしりは起きているときの何倍もの力が歯にかかるため、ずれがあるとマウスピースに穴が開く場合や、余計に歯や顎関節に負担がかかる場合もあります。
矯正治療
お口全体の噛み合わせを治したい方には、矯正治療がおすすめです。
費用は安くはありませんが、全体の噛み合わせを正すことで歯や顎関節の負担が減るだけでなく、首や肩のこりも起こりにくくなる可能性があります。
筋肉は全身につながっているため、部分的な問題であったとしても、長期的にみると全身の健康に影響すると考えられます。
歯や全身の健康を維持したい方は、ぜひ矯正治療をご検討ください。
●全体矯正で行う必要がある
噛み合わせを正す場合は、部分矯正ではなく全体矯正をする必要があります。
部分矯正では部分的にしか歯を動かすことができないため、噛み合わせが余計に悪くなってしまう可能性があり、おすすめはできません。
●ワイヤー矯正がおすすめ
見た目だけを美しくするのであればどちらでもかまいませんが、噛み合わせとなると歯の高さを自由に変えることができるワイヤー矯正のほうが仕上がりは良いとされています。
奥歯の低さが原因で噛み合わせが悪い場合は、歯を引っ張り上げることができるワイヤー矯正の力が必要です。
マウスピース矯正を選択した場合は、一時的にワイヤー矯正と併用して進める可能性があります。
入れ歯・ブリッジ・インプラント
歯を抜いたあとのすき間を何もせずに放置しておくことは、全体の噛み合わせが悪くなる原因の1つです。
入れ歯やブリッジ、インプラントなど、適切な対処を心がけましょう。
歯は骨に支えられているから動かないと捉えてしまう方もいらっしゃいますが、実際は隣の歯があるから動かないだけで、隣の歯が無くなると支えを求めて倒れはじめます。
全体の歯並びが悪くなると、修正するためには矯正治療や多くの被せ物が必要になることから、早めの対処がおすすめです。
●ほかの歯に負担をかけたくない方へ
ほかの歯に負担をかけずに噛み合わせを整えたい方には、インプラントがおすすめです。
入れ歯の場合、バネをかける歯はほかの歯にくらべて負担が大きくなる傾向にあります。
また、ブリッジは歯をかならず削らなければならない治療です。
たとえ健康な歯であっても避けられないため、ほかの歯に負担をかけたくない方はインプラント治療をご検討ください。
●欠損歯を放置しないことが重要
いくらインプラントが良いといっても、状態によっては治療が受けられない場合もあります。
ほかの歯に負担がかかることはできれば避けたいと考える方が多いと思いますが、入れ歯やブリッジをするよりも、歯を失った状態を放置しておくほうが健康上悪いと考えられます。
ご自分にあった治療法をみつけるためにも、まずは歯科医院へご相談ください。
噛み合わせのために気をつけること
定期的なチェックと予防
歯科医院で定期的に噛み合わせをチェックすることで、バランスの取れた状態の維持につながります。
顎関節症予防としても効果が期待できるためおすすめです。
歯周病が進行すると歯の動揺がみられますが、歯の動揺が原因で全体の噛み合わせが崩れることもあります。
歯を失うリスクを減らすためにも、虫歯や歯周病予防につながる定期検診をご利用ください。
●セルフチェックも忘れずに
虫歯や歯周病だと診断されていなくても、入れ歯や被せ物がある場合は気づかぬうちに噛み合わせが崩れている可能性があります。
朝起きたときの顎関節の痛みや、生活のなかでお口の中に違和感を覚えたら、セルフチェックをしてみましょう。
姿勢を正す
頬杖だけでなく、猫背も顎の位置がずれるため、噛み合わせが悪くなる原因とされています。
背筋を伸ばして首や肩の筋肉に負担をかけないように意識することで、つながりのある咀嚼筋にも良い影響が期待できます。
デスクワークや長時間集中する必要のあるお仕事をされている方は、姿勢の崩れだけでなく、無意識の食いしばりにも注意しましょう。
●道具を使って対処する
猫背や集中時の食いしばりは、気づかないうちに起こっていることが多く、常に良い状態を保っている方は少ないと考えられます。
食いしばりはマウスピースで対応し、姿勢を正すための商品も数多く販売されているため、積極的な利用を心がけましょう。
よくある質問
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起床時に噛み合わせに違和感があります。
原因は何ですか? -
睡眠時の歯ぎしりが原因である可能性が考えられます。
起床時の痛みや違和感は歯ぎしりが起こっている証拠でもあるため、まずは歯科医院で調べることをおすすめします。
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どのような詰め物や被せ物で噛み合わせは変わりやすいですか?
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硬い素材でできている詰め物や被せ物は、長期間使っていると噛み合わせにも変化がみられる可能性があります。
保険治療で使用される銀歯は硬めの素材です。
また、プラスチックの詰め物や被せ物は天然歯より脆いため、欠けたり割れたりする可能性があり、結果的に噛み合わせのバランスが崩れる可能性はあります。
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食べものがうまく噛み切れません。
噛み合わせが悪いのでしょうか? -
噛み合わせが原因の可能性もあります。
歯並びや歯のぐらつきによってもうまく噛めない場合もあります。
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重度の歯周病でも噛み合わせを正すことはできますか?
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動揺のみられる歯が多ければ多いほど、噛み合わせを正すことはむずかしくなります。
長いブリッジをして固定することもありますが、メリットだけではありません。
安定した噛み合わせを維持するためにも、歯周病が悪化する前に対処しましょう。
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乳歯のころに噛み合わせが良いと、永久歯でも問題ありませんか?
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乳歯と永久歯の歯のサイズは違うため、生え変わり後にかならず噛み合わせが良くなるとは限りません。
生え変わりの時期に小児矯正をすると、永久歯が自然ときれいに並びやすくなります。
気になる方は一度ご相談ください。
著者 Writer
- 関屋 亘(セキヤ ワタル)
- 【所有資格】日本接着歯学会 専門医 / 日本口腔インプラント学会 専修医
【生年月日】1979年6月11日
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